2023年5月26日（金）19：00～20：30

■アーカイブ配信：5月27日(土)～6月2日(金)　※要事前予約

ZOOMウェビナー形式

新型コロナウイルス感染が広がる中、コロナ後遺症（※）が社会問題となっております。実臨床においても、新型コロナウイルスへの感染が契機となり、疲労感や思考障害が出現し、それらの症状が持続するケースを数多く経験します。海外の研究では、新型コロナウイルス感染症患者における脳構造の変化が報告されているものの、コロナ後遺症の発症機序はまだ十分解明されておらず、残念ながらその治療法もまだ確立していません。そのような背景の中、昨年我々は東京横浜TMSクリニックと新宿・代々木こころのラボクリニックとの共同で、コロナ後遺症で苦しんでいる外来患者の中で主にうつ症状を示す方を対象にTMS療法を無償で実施し、その有効性に関わるデータをTMSレジストリ研究の枠組みでレトロスペクティブに解析しました。同レジストリ研究からは、「ブレインフォグ」と呼ばれる認知機能低下に対するTMS療法が非常に有望な治療手段になりうる可能性が示唆されました。

第2回 精神科医のためのTMS治療実践セミナーの前半では、この春にAsian Journal of Psychiatry誌に報告した「Real world research on transcranial magnetic stimulation treatment strategies for neuropsychiatric symptoms with long-COVID in Japan」の内容をご紹介し、セミナーの後半では、FDAで認可されている強迫性障害に対するTMS療法について、昨年秋にJournal of Clinical Medicine誌に報告した「A Case Series of Deep Transcranial Magnetic Stimulation Treatment for Patients with Obsessive-Compulsive Disorder in the Tokyo Metropolitan Area」の内容を踏まえた上で、実臨床での活用についてご紹介する予定です。

最後に、今後さらにコロナ後遺症に対するTMS療法のエビデンスレベルを高めていくために、コロナ後遺症に対するTMS療法の確立に向けてクラウドファンディングで篤志を募らせていただきたく、その詳細をご説明させていただきたいと考えております。

※コロナ後遺症は、急性呼吸器症状が消失した後、慢性疲労、筋肉痛、関節痛、しびれなどの身体症状や、記憶障害、集中力低下、不眠、頭痛、抑うつ気分などの神経精神症状が3ヶ月以上持続する状態と定義される。これまでのコロナ後遺症研究では、重症化しなかったコロナ感染症患者の約7割において、感染2か月後も嗜眠傾向・呼吸困難・脱力感が持続し、コロナ感染症で入院した重症患者の約3割において、記憶障害、うつ症状、不安症状が見られ、退院3ヶ月後もこれらの障害が持続すると報告されている。さらに、コロナ感染症で入院した重症患者の約8割が退院6か月後においても、疲労感（63 %）、睡眠障害（26 %）、脱毛症（22 %）、嗅覚障害（11 %）をはじめとした残存症状を認めると言われている。

・野田 賀大 先生(慶應義塾大学医学精神・神経科学教室特任准教授)
・大澤 亮太 先生(医療法人社団こころみ 理事長)

プログラム1：コロナ後遺症に対するTMS療法の可能性(野田 賀大 先生)
プログラム2：強迫性障害に対するTMS療法の有用性(大澤 亮太 先生)
プログラム3：コロナ後遺症に立ち向かうためのTMS療法開発に向けたクラウドファンディングのお願い(野田 賀大 先生)

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