心大血管疾患リハビリテーションの導入に必要な施設基準とは?ⅠとⅡの基準比較付き

心大血管疾患リハビリテーション(「心臓リハビリ」)を保険診療で提供するには、所定の施設基準を満たし、地方厚生局に届け出を行う必要があります。

本ページでは、心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅰ)・(Ⅱ)それぞれにおける施設基準の要件をわかりやすく整理してご紹介します。


心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅰ)の施設基準

スタッフ
  • 循環器科または心臓血管外科の医師が、心大血管疾患リハビリテーションを実施している時間帯において常時勤務しており心大血管疾患リハビリテーションの経験を有する専任の常勤医師が1名以上勤務していること。
  • 心大血管疾患リハビリテーションの経験を有する専従の常勤理学療法士および専従の常勤看護師が、合わせて2名以上勤務していること。または、いずれか一方が2名以上勤務している体制であっても差し支えないこと。この場合、うち1名は専任でなくてもよいこと。
機器・器具

機能訓練室に必須の設備

  • 心電図計モニター装置
  • 血圧計
  • 酸素供給装置
  • トレッドミルまたはエルゴメーター等の運動機器
  • 除細動器
  • 救急カート

医療機関内にあれば良い設備

  • 運動負荷試験装置
施設面積
  • 病院:30㎡以上
  • 診療所:20㎡以上

※他リハビリとの共用は可能ですが、同時間帯に実施する場合は面積と機器をそれぞれ別に確保するが必要あります。

運用・体制
  • 記録体制については、医師の指示、運動処方、訓練内容などの記録を患者ごとに一元的に管理し、常時医療従事者が閲覧可能であること。
  • 多職種カンファレンスは定期的に開催され、医師、理学療法士、看護師等が参加する体制であること。
  • 緊急対応体制として、届出医療機関または連携医療機関において、緊急手術および血管造影検査が実施可能な体制であること。
  • 救命救急/ICU体制として、救命救急入院料または特定集中治療室管理料の届出があり、当該治療室が心大血管疾患リハビリテーション中の緊急事態に使用可能であること。
  • 初期加算要件を満たすためには、リハビリテーション科の常勤医師が1名以上配置されていること。
  • 届出関係として、「様式41」および「様式44の2」の提出に加え、機能訓練室の配置図および平面図を添付すること。

心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅱ)の施設基準

スタッフ
  • 循環器科または心臓血管外科を標榜する医療機関において、心大血管疾患リハビリテーションを実施している時間帯に循環器科または心臓血管外科の医師が常時勤務しており、心大血管疾患リハビリテーションの経験を有する専任の常勤医師が1名以上勤務していること。
  • 心大血管疾患リハビリテーションの経験を有する専従の理学療法士または専従の看護師が、いずれか1名以上勤務していること。また、必要に応じて、心機能に応じた日常生活活動に関する訓練等の経験を有する作業療法士が勤務していることが望ましいこと。
  • なお、専従者については、回復期リハビリテーション病棟やADL体制加算などの配置従事者との兼任はできないこと。ただし、心大血管疾患リハビリテーションを実施しない時間帯に限り、他の疾患別リハビリテーションや障害児(者)リハビリテーション、がん患者リハビリテーションに従事することは差し支えないこと。
  • また、心大血管疾患リハビリテーションと他のリハビリテーションの実施時間または曜日が異なる場合には、それぞれの専従者として届け出ることが可能であること。

✓ 料Ⅰとの相違点

  • 「循環器科または心臓血管外科を標榜する医療機関」という文言が明記されており、標榜科の条件が追加されています。
  • 理学療法士・看護師の配置要件が「いずれか1名以上」で足りる点がⅠよりも緩和されています(Ⅰでは両職種合わせて2名以上が原則)。
  • 作業療法士の勤務について明示されており、Ⅰには記載がありません。
  • 他部署との兼任制限に関する詳細な条件(専従の定義、他リハビリとの時間的分離による兼務可否など)が追加されています。
機器・器具

Ⅰと同様に以下設備が必要です。

機能訓練室に必須の設備

  • 心電図計
  • 血圧計
  • 酸素供給装置
  • トレッドミルまたはエルゴメーター等の運動機器
  • 除細動器
  • 救急カート

医療機関内にあれば良い設備

  • 運動負荷試験装置
施設面積

Ⅰと同様に以下面積が必要です。

  • 病院:30㎡以上
  • 診療所:20㎡以上

※他リハビリとの共用は可能ですが、同時間帯に実施する場合は面積と機器をそれぞれ別に確保するが必要あります。

運用・体制
  •  記録体制については、医師の指示、運動処方、訓練内容に加えて、実施時間および担当者の情報も含めて患者ごとに一元的に管理し、常時医療従事者が閲覧可能であること。
  • 多職種カンファレンスは定期的に開催され、医師、理学療法士、看護師等が参加する体制であること。
  • 緊急対応体制として、届出医療機関または循環器科または心臓血管外科を標榜する連携医療機関において、緊急手術および血管造影検査が実施可能な体制であること。
  • 救命救急/ICU体制として、救命救急入院料または特定集中治療室(ICU)管理料の届出があり、当該治療室が心大血管疾患リハビリテーション中の緊急事態に使用可能であること。
  • 初期加算要件を満たすためには、当該保険医療機関にリハビリテーション科の常勤医師が1名以上配置されていること。
  • 届出関係としては、「様式41」による施設基準届出書の提出に加え、当該治療に従事する医師および理学療法士または看護師について、勤務形態(常勤・非常勤、専従・非専従、専任・非専任)を記載した「様式44の2」を併せて提出すること。また、専用の機能訓練室の配置図および平面図も添付すること。

✓ 料(Ⅰ)との違い

  • 記録体制:「料(Ⅱ)」では、記録項目に「実施時間」や「担当者」といった詳細情報の記載が求められています(※「料(Ⅰ)」ではこれらの記載は明示されていません)。
  • 多職種カンファレンス:「料(Ⅱ)」では、関与職種として理学療法士および看護師が明示され、実務的なチーム体制の明確化が図られています。
    一方で「料(Ⅰ)」では、作業療法士の関与についても触れられており、より幅広い専門職が関与することを想定した内容となっています。
  • 緊急対応体制:連携先として「循環器科または心臓血管外科を標榜する医療機関」であることが明文化されており、より専門性の高い医療連携体制が要件に加えられています。これに対し、「料(Ⅰ)」では診療科の限定はなく、比較的柔軟な対応が可能とされています。

心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅰ)・(Ⅱ)施設基準 比較表

 参考資料:厚生労働省 令和6年度診療報酬関連情報

 


導入に関してのご相談や詳細情報をご希望の方へ

上記の施設基準は、心大血管疾患リハビリテーションを安全かつ効果的に実施するために定められた最低限の要件です。
また、専従・常勤医師や経験を有するスタッフの配置状況、施設面積や必要機器の整備状況は、行政への届出時に確認される重要なポイントです。書類として根拠を示せるよう、日常的な管理・運用体制を整えておくことが求められます。

さらに、他のリハビリテーションとの人員や面積の共用可否、時間帯による兼任など、実際の運用における柔軟性も一定の範囲で認められています。ただし、基準を逸脱しない範囲での対応が必要となるため、事前に確認しておくと安心です。

施設での心大血管疾患リハビリテーションの導入・運営を検討されている方は、基準の理解に加えて、実際の運用事例や準備すべき書類の整理も重要です。

インターリハでは、施設基準に基づく導入支援や事例紹介も行っております。
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