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認知症のリハビリテーションの代表的な分類5つ|患者の症状に合ったリハビリのすすめ

認知症には、外因性とそうでない原因不明な有名な2つの認知症が存在します。特にアルツハイマー型認知症という名称は非常によく知られています。しかし、根本治療がほとんど確立されていないのが現状です。治療行為というよりも認知症の進行を遅延したり、症状の発症を抑えたりするという手法が現代の治療や介護、支援の分野で行われてきました。その中には、発達障害、精神障害の治療と改善に使われた、さまざまな療法が応用されています。


リラックス効果もある音楽療法

認知症のリハビリテーションの現場では、行動療法や認知療法、作業療法など主に精神障害向けのさまざまな介助、リハビリの手法が応用されています。共に脳機能の回復と、症状の遅延、発現を抑えるためのものです。現在のリハビリは、完全に元に戻すものではなく、できるだけ平穏で自信が持てるようになれるための、生活に活力を取り戻すための施策です。


つまり、治療と呼ぶよりはある種の訓練です。日々の生活のための活動的な日常を取り戻すためのものだと考えれば良いかも知れません。これを堅苦しく感じずに、日々の生活に取り入れ、患者が自ら能動的に積極性が出てくるようにさまざまな試みが行われています。


その一つは音楽療法で、耳から大脳に入る効果的な情報の記憶として、気分や懐かしい音楽で、過去の記憶を呼び出したり、リラクゼーション効果を期待したりするというものです。認知症には、記憶が途切れ、思い出せないことから焦燥感、あるいは、「次も忘れてしまう」といった不安から、緊張がほぐれないことがままあるのです。音楽には、旋律の他に歌声、歌詞などの脳の理解が必要です。認知症に効果的なリハビリは、身体の機能と思考力、そしてそれらを自分が自信を持って行える状態が必要です。その意味では、音楽療法は、脳の記憶と認知、それによる精神の落ち着きを取り戻すには非常に効果的でもあります。


認知症の特徴的な症状には、不安と睡眠不足などの緊張緩和がなかなか行われず、「真夜中に起きる」「イライラから偏食」「過度の間食をとってしまう」などがあります。心理面の不安から、それで行動にも異常なことが発現するようになる場合が多いのです。


実際、国立長寿医療研究センターの実験では、軽度の認知障害のある人に毎週1時間程度の音楽を聞かせたり、一緒に歌ったりする療法を実践したところ、記憶や注意力に改善が見られた例もあります。しかし、音楽はそのジャンルでも精神性に影響を与えるため、しかるべき音楽療法の有資格者とともにリハビリを行うことが望ましいでしょう。


ふれあいで心を開くアニマル・セラピー

アニマル・セラピーは動物介在療法とも呼ばれます。これもまた精神障害などで活用されているセラピーの一つです。認知症には、自信、家族との信頼、あるいは不安が心に存在し、それがなかなか忘れられない安息のない日々が続く場合があります。心の通い合いは、人では会話や表情から読み解くものです。しかし、認知症はその認知が、ところどころ切れて記憶したり、ささいな言葉一つを思い出せなかったりすることから、会話が成立しない場面もあります。


一方、愛玩動物などの場合、飼われている動物は、根本的に人間には心を開き、無条件でなついてくれるところがあります。この、愛玩動物特有の性質を利用して、動物と対面した患者が、かつて自分にもあった他人の世話をしたいといった欲求や、自分が必要とされる自信を思い出すことができるのです。


また、言葉が通じなくとも、その姿は幼い赤ん坊と同じでコミュニケーションに対する意欲を、もう一度取り戻して回想させてくれます。そのため、回想法という側面もアニマル・セラピーにはあるのです。会話という認知と応用の連続性を取り戻す訓練ともなり、人と対峙する機能面でも、これは有効になります。


見当識障害を改善するリアリティ・オリエンテーション

リアリティ・オリエンテーションは、日本ではなじみがない言葉です。しかし、すでに欧米では1960年代に始まっていたリハビリ療法の一つになります。現在、一部の介護施設や認知行動療法などの中に取り入れられている傾向です。これは、認知症の特徴である「新しい記憶を取り入れ、それ繰り返し脳から取り出していく」という訓練法です。


課題を与えず、会話の中の言葉などを記憶し、反復させることで記憶を強めることを狙ったもので、別名「現実見当識訓練」といわれます。認知症同士で、特に似たような進行状況のある患者をグループにして行うことが一般的です。そのグループ内で今日の出来事などを、グループで会話の補助をしていくやり方になります。この方法は認知症患者のいる家庭でも実践可能です。


リラックスした中で共通の体験や同じ日にあったことなどを共有し、間違いや思い違いがあれば、否定ではなく互いにグループの中で補完し合ったり助け合ったりするリハビリです。着替えながら、昨日の出来事や今日の予定などを話し、正確にその記憶を呼び出せる進行役をひとりつけます。


注意点は、認知症患者だけにしないことです。コミュニケーション力と、協力して一つのことを記憶しているので、患者は認知に不安を感じても、すぐにその記憶を修正できます。また。周囲に尋ねることができるので、時間がかかりながらも、確実に患者の自信を取り戻すヒントときっかけを作り出すことができます。


認知症の進行を遅らせる回想法

前述したリアリティ・オリエンテーションの中に応用されているリハビリ療法の手法です。世界中の研究者が取り組み、一定の効果が現れており、また特別な資格がなくても気軽にできるリハビリとしては、一般的になりつつあります。これは、認知症の特徴である「遠い過去の記憶は喪失しづらい」ということを利用しています。


患者の幼少時代から、学校時代、あるいは苦労話や友達の話、楽しかったこと、つらかったことなどを共有するのです。認知症以外の人も加えて1対1、あるいはグループで行います。コツは、話のきっかけになる小道具を用意することです。アルバムや、映画のポスター、絵像、写真など、記憶のヒントになるものを患者に提示して一緒に話をすることにあります。


日常生活で無理ないリハビリができる作業療法

脳機能障害では、これまで行動療法と呼ばれる訓練が頻繁に活用され、認知症の療法としても活かされて来ました。行動療法とは、これまで説明したような「人と普通に会話をする」「日常的な平穏な精神と活力、やる気を引き出す」といったことに有効です。


会話で自分の言葉が思い出せず、詰まって自信喪失した場合でも、ある行動を起こせば、それが問題解決の糸口となる手段です。それに対し、作業療法とは発達障害の訓練などに活用されてきたものです。手工芸や書道、あるいはパズルを解くなどの、軽い認知行動が必要な指先を使った軽作業がこれに相当します。


体操、音楽鑑賞、折り紙や、ぬりえなど、こうしたことは幼児教育では活用されてきました。しかし、大人の場合はさらに料理、洗濯、掃除などが日常的に行われるものです。そうした基礎となる作業の順番などを、再び脳の中で再構築させるための訓練となります。


こうした集団で一つのテーマを繰り返し、思い出して異なる作業に応用したり、周囲と同じ作業で認知症患者の自信を取り戻したりすることできるのです。どうしても、能動的な活動に制約が出てしまいがちな、認知症の進行を食い止めるために、現代ではさまざまな医療現場の手法を応用し、認知症予防と進行の遅延で効果を発揮しています。


記憶という重要な部分の喪失は、大きな不安を人に与えます。しかし、こうしたさまざまな取り組みがあることを知ることで、ぜひ認知症には前向きな意識を持って欲しいものです。


まとめ

リハビリテーションという用語には、元々は身体障害者が社会復帰するための総合的な治療訓練を指していました。本来は、患者本人の自信の回復と、独立した日常生活で支障のないレベルに社会復帰させるのが目的です。その意味では、全回復させる根本治療とは方向性が異なるのです。


その役割は、認知症とともに患者が生きていくことになります。認知症の多くは、大脳などの記憶の部分に影響の出る未知の分野の病気なので、一般的な傷病のように、何をしたらこういった効果が出るといった臨床試験があるわけではありません。したがって、認知症のリハビリテーションは、患者とその家族と医師の協力が非常に重要な鍵となります。

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